牛耳るはなぜ牛の耳と書く?古代中国の覇者が行った儀式が語源

横山光輝「史記」第2巻より

「牛耳る」といえば組織などを支配し、自身の思うままにすることを意味しますが、なぜ牛の耳と書いてそのような意味になるのか、気になった人は多いのではないでしょうか。

この言葉が生まれた経緯を知ることで牛の耳と書く理由がわかるのですが、ここではどのようにしてこの言葉が生まれたのか、簡単にその語源を紹介していきたいと思います。

覇者の儀式

覇者という言葉がありますが、古代中国の春秋戦国時代では覇者というのは諸侯同盟の盟主となった者のことを指しました。

そしてその覇者に選ばれると一つの儀式を行います。

まず、生け贄の牛を殺し、その耳を切り取ります。そしてその牛の血で諸侯は盟約の文を記して、その血をすすります。

この牛の血をすすらせた者が覇者であり、これを「牛耳を執る」と言ったのです。これが牛耳るの語源です。

夏目漱石 が「牛耳る」に

この「牛耳を執る」を略して「牛耳る」と使い始めたのは明治の文豪、夏目漱石だと言われています。
「牛耳を執る」という言葉が生まれたのは紀元前の話ですが、今の言い回しとなったのは100年ほど前なのです。

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